高収入やステータスの一方で、消防司令の勤務実態は極めて過酷だ。基本となる勤務形態は、24時間勤務(当番)と非番、日勤を繰り返すシフト制が多い。しかし、当番日の24時間は常に緊張の糸が張り詰めている。仮眠時間であっても出動要請の指令アナウンスが一発鳴れば、数秒で覚醒し、防炎服を身にまとって指揮車へ飛び乗らなければならない。
さらに精神的な負荷も計り知れない。「部隊を突入させるべきか、撤退させるべきか」——燃え盛る木造住宅や煙が充満する雑居ビルの前で、消防司令は常に究極の決断を迫られる。判断が一歩遅れればフラッシュオーバー(急激な火災拡大)に巻き込まれ、部下を死に追いやるリスクすらあるのだ。こうした現場での惨事ストレスによるメンタルヘルスケアも、近年の消防行政における重要課題となっている。