海外の北朝鮮大使館は、一般的な外交拠点とは異なる極めて特殊な側面を持っています。その象徴的な例が「自活ノルマ(外貨獲得義務)」と「相次ぐ亡命劇」です。
一般の外国人が観光や商用で北朝鮮へ入国する場合、北京やウラジオストクなどの北朝鮮大使館・領事館へビザ申請を行うのが通例です。しかし、公館員たちには本国へ外貨を送金する厳しいノルマが課されているケースが多く、大使館敷地内でレストランを運営したり、密輸や不正取引に関与したりといった実態が国連の報告書などで指摘されてきました。
さらに、在外公館は劇的な亡命事件の現場にもなってきました。2016年に駐英北朝鮮公使だった太永浩(テ・ヨンホ)氏が妻子とともに韓国へ亡命した事件や、イタリア代理大使、キューバ駐在の政治担当参事官の脱北など、在外公館から自由を求めて脱出するエリート層のニュースは後を絶ちません。公館内には相互監視のための保衛員が常駐しており、常に張り詰めた空気に包まれています。