ネット上の掲示板やSNSで最も広く知られているのが、「つわり中の食べ物の好みで性別が分かる」というジンクスです。特に有名なのが「マクドナルドのフライドポテトが無性に食べたくなったら男の子を妊娠している」という説であり、妊娠報告の投稿などでも定番のトピックとなっています。
この食べ物ジンクスにおける典型的な分類パターンは以下の通りです。
- 男の子説:塩気のあるもの、揚げ物、ジャンクフード(マックのポテト、ラーメン、唐揚げ)、肉類、ジャンキーで味の濃い食品
- 女の子説:甘いもの(洋菓子、チョコレート、アイスクリーム、菓子パン)、フルーツ全般、トマトやレモンなどさっぱりした柑橘類
なぜこのような俗説が定着したのでしょうか。文化背景を探ると、かつて日本では「男児=力強い・精がつく肉食」「女児=可憐・甘い菓子」という古典的なジェンダーイメージが結びつけられていた名残が指摘されています。また、欧米でも「Sugar and spice and everything nice(砂糖とスパイスと素敵なもの=女の子の象徴)」といったマザーグースの詩に代表されるように、嗜好品と性別を結びつける土壌が古くから存在していました。
さらに「マックのポテト」がこれほど突出して挙げられる背景には、妊娠初期の生理的メカニズムがあります。妊娠初期はプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で体内の水分と塩分の代謝バランスが急変し、脱水症状や低ナトリウム傾向に陥りやすくなります。そこにカリウムや塩分、手軽に摂取できる炭水化物(糖質)の塊であるフライドポテトが、母体の渇望する栄養補給として完璧に合致してしまうのです。つまり、「男の子を身ごもったからポテトが欲しくなる」のではなく、「つわり中の母体が本能的に塩分と糖質を求めた結果、最も身近で手に入りやすいポテトに手が伸びている」というのが客観的な事実です。