年金議論の中心にあるのが繰下げ受給制度だ。受給開始を65歳より遅らせることで、1ヶ月あたり0.7%増額され、最大75歳まで繰り下げると増額率は84%に達する。年金額を生涯にわたって増やせる点は大きな魅力であり、資産形成や長生きリスクに対する強力な対抗手段となる。
しかし、増額という光の裏には隠されたリスクが潜んでいる。年金額が増えることで雑所得が増加し、所得税や住民税の負担が跳ね上がる可能性があるのだ。さらに、介護保険料や医療保険の自己負担割合が1割から2割、あるいは3割へと引き上げられるラインを超えてしまうケースも少なくない。万が一早期に亡くなった場合の受給総額の逆転現象など、単に「受給額が増えるから得」とは言い切れない複雑な計算が必要となる。