老舗居酒屋「北の家族」の現在|相次ぐ閉店理由と2026年の店舗一覧

老舗居酒屋「北の家族」の現在|相次ぐ閉店理由と2026年の店舗一覧

老舗居酒屋「北の家族」の現在|相次ぐ閉店理由と2026年の店舗一覧の注目されている理由を丁寧にまとめました。全体像を一目で把握できます。

なぜ「北の家族」はこれほどまでに店舗数を減らすことになったのか。その真相を紐解くには、倒産の経緯と外食産業を取り巻くビジネスモデルの急変を検証する必要があります。

「北の家族」の創業は1967年、大阪・千日前での開業に遡ります。本格的な北海道郷土料理を手頃な価格で提供する居酒屋として高度経済成長期からバブル期にかけて急拡大を遂げました。しかし、その後の歩みは波乱に満ちたものでした。

最初の大きな転換点は2004年の民事再生法申請です。バブル崩壊後の価格破壊競争や過剰出店による負債が膨らみ、当時の運営会社である株式会社北の家族は経営破綻を余儀なくされました。その後、外食ファンドや大手飲食グループへの事業譲渡を経て、近年は株式会社パートナーズダイニング(およびその関連ホールディングス体制)のもとで再建が進められてきました。

しかし、ブランドを直撃した第2の打撃が2020年代初頭のパンデミックと生活様式の変容です。閉店の理由として決定的だったのは、以下の3つの構造問題でした。

  • 200〜300席規模の「オオバコ(大型店舗)」モデルの破綻:会社の公式飲み会や大規模な学生歓送迎会が激減し、高額な家賃と光熱費・人件費を維持できなくなったこと。
  • 競合業態との差別化の埋没:昭和期には希少だった「産直海鮮」「北海道直送」が他社チェーンでも一般化し、大衆総合居酒屋としての優位性が薄れたこと。
  • 原材料・エネルギー価格の高騰:輸入水産物や国内輸送費の上昇により、低価格での大量提供モデルが限界に達したこと。

これらを受け、現在の運営会社は「不採算な大型店の即時閉鎖」「少人数・個室を中心とした中小型店舗へのシフト」「カニやサーモンなど特定高級食材に特化した高付加価値フェアの展開」へと舵を切りました。大量閉店は単なる衰退ではなく、生き残りをかけた事業構造の外科手術だったと言えます。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。