沖縄において、月桃の花は単なる観賞用植物ではありません。人々の命の記憶や平和への祈りと切っても切り離せない、深い象徴性を持っています。
沖縄戦の悲劇と命の尊さを歌い継ぐ名曲『月桃』(作詞・作曲:海勢頭豊氏)は、テノール歌手の新垣勉氏をはじめ多くのアーティストによって歌い継がれてきました。「月桃ゆれて 花咲けば」という印象的な歌い出しで始まるこの楽曲は、沖縄戦で多くの尊い命が失われた6月23日の「慰霊の日」前後に、ちょうど月桃の花が満開を迎える情景と重なり合います。
さらに、1996年に公開された映画『月桃の花』(監督:中山節夫氏)では、激しい戦禍を生き抜いた人々の葛藤と平和への誓いが、季節ごとに力強く芽吹き花を咲かせる月桃の姿と重ね合わせて描かれました。厳しい環境下でもたくましく根を張り、芳醇な香りを放ち続ける月桃は、沖縄の人々の不屈の生命力と優しさを象徴する花として、今も人々の胸に深く刻まれています。