滑らかな口当たりを目指す前に、まずはスープが分離してしまう根本原因を知る必要がある。犯人は牛乳に含まれる主要なたんぱく質「カゼイン」だ。
カゼインは通常、カルシウムなどと結びついて微細な粒子(ミセル)の状態で液体中に均一に分散している。ところが、トマトに含まれるクエン酸やリンゴ酸が加わって液体のpH(水素イオン指数)が低下し、酸性度が一定のライン(等電点:約pH4.6)を下回ると、電気的な反発力を失ったたんぱく質同士が急激にくっつき合い、凝固してしまう。さらにここに「高温」というエネルギーが加わると、凝固反応は爆発的に加速する。グラグラと煮立った鍋の中で、あの忌まわしいモロモロとした塊が一瞬にして生まれるのは、この熱と酸の相乗作用によるものだ。