バラエティ番組の現場において、志村さんの演出指示は極めて厳格かつ繊細を極めていました。腰元役のタレントやグラビアアイドルが登場する場面では、カメラアングルやライティングに至るまで徹底的な計算が施されていたことが、当時の制作スタッフの証言から明らかになっています。
特に『ドリフ大爆笑 名作コント』から受け継がれた美術小道具へのこだわりは異次元でした。「柔らかそうに見える特殊ウレタン素材の配合」や「飛び出すバネの反発係数」をミリ単位で調整し、生々しいリアリティを消して徹底的にコミカルな記号へと落とし込む作業が繰り返されました。演者が少しでも恥ずかしがったり、逆に生々しい色気を出そうとしたりすると、志村さんは即座に撮り直しを命じたといいます。「照れたらスケベになる。真顔でバカをやるから芸術になるんだ」という志村さんの言葉は、まさにコント番組の制作現場における至言でした。