なぜ一流の頭脳を持つ官僚たちが、これほど露骨な接待に身を投じたのか。その背景には「MOF担(モフたん)」と呼ばれる民間金融機関の存在があった。大蔵省(Ministry of Finance)の略称に由来するこの担当者は、自社の生き残りをかけて官僚に食い込み、未公開の行政情報や検査日程を事前に入手することを命じられていた。
「MOF担」たちは膨大な交際費を使い、官僚たちの歓心を買うために過激な接待競争を繰り広げた。官僚側もまた、そうした至れり尽くせりのもてなしを当然の権利のように錯覚していった。密室で交わされる金融行政のやり取りは透明性を著しく欠いており、バブル崩壊後の不良債権問題の処理を大幅に遅らせる一因にもなったとされる。