本作の凄みを語る上で外せないのが、大映専属のトップ女優たちによる鬼気迫る競演だ。とりわけ強烈なインパクトを残すのが、アメリカ帰りのような派手な洋装で男を手玉に取る「ミッキー」を演じた京マチ子である。ガムを噛み、ジャズに身を揺らしながら、自らを売春婦へと追いやった父親を冷笑する姿は、旧来の悲劇のヒロイン像を粉々に打ち破った。
一方で、したたかに金を貯めて高利貸しへと転身し、店から脱出を図る「やす子」を演じた若尾文子の冷ややかな演技も見事というほかない。天使のような美貌の奥に潜む冷酷なまでの計算高さ。若尾の澄んだ瞳が放つ現実主義は、観る者の倫理観を試すように突き刺さる。大映の黄金期を支えた看板女優たちが魅せる泥臭くも強靭な生命力は、今見ても圧倒的な迫力に満ちている。