櫻井翔の演技キャリアにおいて、若い頃の代表作として絶対に外せないのが、2002年にTBS系で放送された宮藤官九郎脚本のドラマ『木更津キャッツアイ』です。
櫻井が演じた「バンビ」こと中込公平は、野球部出身でお人好し、グループ内で唯一の現役大学生という役柄でした。岡田准一演じる主人公「ぶっさん」ら個性的な仲間たちに振り回されながら、時に気怠げで、時に熱く純粋な青春を疾走するバンビの姿は、当時の櫻井翔自身の等身大の魅力と完璧にシンクロしていました。劇中で見せた金髪混じりのヘアスタイルやストリート系ファッションは、当時の男子高校生・大学生の間でトレンドとなり、ファッションアイコンとしての地位も確立しました。
同じく2002年に公開された嵐の初主演映画『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』では、暴走族の特攻隊長・鴨川忠(チュウ)役を熱演。リーゼントに特攻服という破天荒なビジュアルに挑戦し、単なる王子様アイドルにとどまらない演技の幅の広さを証明しました。
その後も、二宮和也と共演した『山田太郎ものがたり』(2007年)での完璧な御曹司役、サスペンスドラマ『ザ・クイズショウ』(2009年)での狂気じみたMC役、そして『家族ゲーム』(2013年)での不気味かつ強烈な家庭教師・吉本荒野役など、年齢を重ねるごとに多面的な当たり役を生み出していきました。しかし、そのすべての演技の土台には、若い頃に『木更津キャッツアイ』の現場で培った「リズム感」と「生々しい人間臭さ」が生きています。