トラックのリターダーとは?排気ブレーキとの違いや仕組みを徹底解説

トラックのリターダーとは?排気ブレーキとの違いや仕組みを徹底解説

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トラックの補助減速機構を語るうえで混同されやすいのが、「エンジンブレーキ」「排気ブレーキ(エキブレ)」、そして「リターダー」の役割分担である。これらは段階的に併用される関係にあるが、作動原理と発生トルクには明確な境界線が引かれている。

エンジンブレーキはアクセル開度をゼロにした際、エンジンの圧縮抵抗(ポンピングロス)と内部摩擦によって生じる自然な減速力だ。しかし、燃費向上を狙った近年の高効率・低フリクションディーゼルエンジンでは、自然なエンジンブレーキ力は相対的に弱まる傾向にある。

そこで標準装備されるのが排気ブレーキである。排気マニホールドの下流に設けられたバタフライバルブ(遮断弁)を閉じ、シリンダーからの排気ガス排出を物理的に塞ぐことで、ピストンの上昇運動に強い背圧(バックプレッシャー)をかけて減速トルクを得る。操作が容易でコストも低いため、中型トラックから大型車まで広く普及しているが、制動力の上限はエンジンの排気量と回転数に完全に縛られる。

これらに対し、リターダーはパワートレインの回転そのものをダイレクトに減速させる。排気ブレーキが「エンジン内部の抵抗を増やす間接的な制御」であるのに対し、リターダーは「車軸の回転を力ずくで押さえ込む直接的な制御」という決定的な相違点がある。制動トルクの差は歴然で、大型車用の高性能リターダーは排気ブレーキのおよそ2倍から3倍以上の減速トルク(1,500〜3,000Nm以上)を発揮する。

補助ブレーキの種類作動機構と減速メカニズム発生トルク・減速力編集部の見解・実用評価エンジンブレーキスロットル全閉時のシリンダー吸排気損失および機械的摩擦小(車両重量に対しては緩慢な減速力)平坦路での巡航や微細な速度調整向き。単体での急勾配降坂は不可。排気ブレーキ(エキブレ)エキゾーストパイプ内の弁を閉じ、ピストン排気行程に背圧を負荷中(500〜1,000Nm程度/中速域で有効)トラックの基本装備。適正ギアを保たないと十分な減速度が得られない。リターダー(永久磁石式)ネオジム磁石アレイをスライドさせ、ドラム内に渦電流を発生大(1,200〜2,200Nm/幅広い速度域で即応)国産大型トラックの主流。軽量・無給電で高耐久。日本の道路環境に最適。リターダー(流体式/ハイドロ)ステーターとローター間の作動油(オイル)の撹拌せん断抵抗特大(2,000〜3,500Nm以上/高速域で強烈)欧州車や観光バス、超重量物輸送で活躍。減速力は最強だが重量と熱対策が必要。
伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。