トレーニング愛好家のコミュニティやSNS、知恵袋などの相談窓口を調査すると、「腕立て伏せをすると肩がポキポキ鳴るが、痛みがないので放置して続けている」という声が驚くほど多く散見されます。
フィットネスクラブの現場でクライアントを指導するパーソナルトレーナーの証言によると、このポキポキというクリック音は、腱や靭帯が骨の隆起を乗り越える摩擦音、あるいは関節包の陰圧が変化するキャビテーションであるケースが大半を占めます。しかし、現場取材で浮き彫りになったのは、この初期の異音を「痛くないから大丈夫」と過信して高強度のプッシュアップを継続した結果、数か月後に鋭い炎症を伴う腱板損傷の症状へ進行させてしまうトレーニーの多さです。
実際に、過去に肩の違和感を放置して重症化させた30代男性の手記には、次のような生々しい告白が記されています。
「最初は腕立て伏せをするときに肩の奥でコキコキと音が鳴る程度でした。筋肉痛の一種だろうと高をくくり、毎日50回を目標に続けていたところ、ある日突然、腕を水平に挙げるだけで電撃のような激痛が走るようになりました。夜も痛重だるさで目が覚めるようになり、整形外科で腱板の不全断裂と診断されたときは、なぜもっと早くフォームを見直さなかったのかと激しく後悔しました」
痛みがまだ表面化していない段階であっても、摩擦音が鳴り続けている状態は「関節の噛み合わせがズレたまま反復運動が行われている」という身体からの警告サインに他なりません。