市販の鎮痛薬として定評のあるロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)やイブプロフェンを規定量服用したにもかかわらず、痛みが全く引かないケースがあります。「薬が効かないほどの病気なのではないか」と強い恐怖を覚えるかもしれませんが、これには明確な病理学的理由が存在します。
ロキソニンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みの伝達物質である「プロスタグランジン」の生成を抑えることで鎮痛効果を発揮します。しかし、虫歯が神経まで完全に達した急性化膿性歯髄炎や、歯根の先端に膿が溜まる根尖性歯周炎では、歯の内部で組織の壊死や急激な化膿が進んでいます。
硬い象牙質に閉じ込められた狭小空間の内部圧力が物理的に限界を突破している状態では、プロスタグランジンを抑える化学的アプローチだけでは、物理的な圧力による神経圧迫を解除できません。これが、ロキソニンが効かない歯痛の真相です。手元の薬が効かないからといって短時間で何錠もオーバードーズ(過剰摂取)することは、胃潰瘍や急性肝機能障害・腎障害を招く極めて危険な行為です。
歯医者に行けない時の痛止め対処法としては、薬の追加服用に頼るのではなく、頭の位置を上げた安静状態の維持、冷感湿布による局所冷却、そして前述のツボ押しを併用し、物理的および神経学的な多角アプローチで痛みの閾値を引き上げる作業が不可欠となります。