NBAの頂点を争う大舞台において、両雄の激突は戦前「歴史的な大接戦になる」との見方が有力視されていました。しかし蓋を開けてみれば、シリーズはボストンが盤石のゲームコントロールを見せて圧倒する展開となりました。専門メディアや米大手放送局の戦術アナリストが口を揃えて指摘するセルティックス優勝の決定的な理由は、スター選手の個の力に依存しない「コート上の5人全員がスリーポイントと守備を遂行できるシステム完成度の差」にありました。
セルティックスは全選手がアウトサイドに広がる「5アウト」オフェンスを徹底し、マブスの強みであったリムプロテクトを完全に無力化しました。ダラスの守備陣は、ペイントエリアを飛び出して外のシューターをケアせざるを得ず、結果としてインサイドのスペースをテイタムやブラウンのドライブで幾度となく切り裂かれる事態に陥りました。現地メディアのトラッキングデータによると、ペイント内へのアタックからキックアウトされたパスの本数は、セルティックスがマブスを1試合平均14.2本も上回っていました。
さらに守備面において、ボストンはマブスの絶対的エースであるドンチッチに対し、シングルカバレッジを基本としながら執拗に体力を削る消耗戦を仕掛けました。オフェンス時にはドンチッチをピック&ロールのターゲットに指名し続け、ディフェンス側でも足を動かさせる戦略を完遂。その結果、試合終盤にドンチッチのシュート成功率が顕著に低下するという、計算し尽くされた心理的・肉体的包囲網が勝敗の分水嶺となりました。