JRの東海道新幹線・東海道本線・飯田線、そして名古屋鉄道の各線が集結する豊橋駅。この巨大な駅舎に降り立った出張者や観光客が、渥美線への乗り換え案内看板を追う中で突然足を止めてしまう場面が日常的に見受けられます。迷いが生じる最大の要因は、新豊橋駅と豊橋駅の違いと理由を直感的に把握しにくい駅構造にあります。
豊橋駅の改札内は、JR線と名鉄線が同一平面上で共存する全国的にも珍しい共同使用駅です。そのため、初めて訪れた利用者は「渥美線も同じ駅構内のどこかのホームにあるはずだ」という強い先入観を抱きがちです。しかし、豊橋鉄道渥美線の起点である新豊橋駅は、JR・名鉄の豊橋駅舎から南東へ約150メートル離れた完全に独立した単独駅舎として鎮座しています。
歴史を紐解くと、渥美線の前身である渥美電鉄が1927年に新豊橋駅を開業して以来、国鉄・JRの駅舎とは敷地を分かつ形で発展してきました。2008年には駅舎が現在の場所へ移転・再開発され、利便性は向上したものの、「一旦改札を出て屋外の連絡路を進む」という物理的な断絶は解消されていません。現場の案内サインも要所に設置されているものの、JR改札を出た瞬間に広がるコンコースの視覚情報量の多さに埋もれ、乗り換え客の認知にタイムラグを生じさせています。