第14話を読み解く上で外せないのが、東村の暗部と人間関係の再構築です。ユルが絶対の信頼を寄せていたかつての平穏な村は、実は特定の一族やツガイの力を管理・隠蔽するための巨大な「檻」に過ぎませんでした。
ここで焦点となるのが、幼馴染であるダンジの存在と目的です。純粋な少年として描かれていたダンジの背後には、東村の因習と深く結びついた影が見え隠れします。彼が村の意向にどこまで加担しているのか、あるいは彼自身もまた運命に翻弄される犠牲者なのか、その立ち位置は非常に複雑です。
同時に、現代社会でユルをサポートするデラ(田寺)の立ち回りにも注目が集まります。飄々とした態度を崩さないデラですが、ツガイ界隈の裏事情や影森家の内情に精通しており、その情報収集能力と危機管理能力は一介の仲介人を超越しています。敵か味方か判別しきれない人間たちが織りなす疑心暗鬼の心理描写こそ、荒川弘作品ならではの醍醐味です。