現在の医学においてKLSを根本的に根絶する単一の特効薬は存在しませんが、「発作の予防」と「発作期の安全確保」を両輪とした治療戦略が確立されています。
薬物療法において第一選択として広く用いられているのが、気分安定薬である炭酸リチウムです。炭酸リチウムの継続服用により、患者の約6〜7割で発作の頻度軽減や発作期間の短縮が確認されています。リチウムが無効または副作用で使用できない場合には、バルプロ酸ナトリウムやラモトリギンといった抗てんかん薬が代替薬として選択されます。
発作中の過眠に対しては、覚醒維持薬(モダフィニル等)が一時的な傾眠軽減に用いられることがありますが、根本的な意識混濁や過食行動を止める効果は限定的です。また、発作初期の神経炎症を抑える試みとして、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン静注療法(IVIG)の有効性に関する臨床研究も継続的に行われています。
発作期における最も重要な対策は、安全な療養環境の整備です。患者は判断力が著しく低下しているため、以下のサポート体制が求められます。
【発作期の家庭・周囲での具体的対応】
・事故防止:自動車の運転や刃物の使用、外出は厳禁とし、自宅内で静かに過ごせる個室環境を確保する。
・摂食の管理:過食による窒息や急激な体重増加を防ぐため、高カロリー食品を隠し、消化に良い軽食や水分を小分けにして提供する。
・不要な刺激の排除:無理に会話をさせたり、叱責したりせず、脳への刺激を最小限に抑えて静かに見守る。
・教育・職場連携:あらかじめ学校や職場に疾患の診断書と特性を共有し、発作期の突発的な長期休養を受け入れられる環境を構築しておく。