のど自慢の代名詞といえば、演奏直後に響き渡るチューブラーベル(鐘)の音です。「カランコロンカラン〜(合格・鐘3つ)」「キンコン(鐘2つ)」「カン(鐘1つ)」の鳴らし分けには、どのような判定基準が隠されているのでしょうか。
番組における鐘の判定は、決して機械的なピッチや音程の減点方式ではありません。審査席に座るNHKの音楽ディレクターや専門家が、歌の技術に加え「リズム感」「声の伸び」「会場を巻き込む明るさや一生懸命さ」を総合評価しています。たとえ音程が多少揺れても、曲の世界観を全力で表現し切った歌唱には合格の鐘が鳴り響くケースが多々あります。
この鐘の音を語る上で欠かせない存在が、2002年から2023年3月まで長年にわたり打楽器奏者を務めた秋山気清(あきやま きせい)氏です。秋山氏の優しくも時にシビアな打鐘、歌い終わった出場者へ見せる温かな笑顔や会釈は、番組のアイコンとして日本中で親しまれました。
秋山氏の勇退後も、伝統のベルは新たな打楽器奏者たちへと引き継がれ、出場者の緊張をほぐす現場の温もりはそのまま受け継がれています。鐘が1つであっても決して「不合格」と突き放すのではなく、「熱唱への労い」として鳴らされる点が、この番組が長寿を誇る根本的な理由です。