今年に入り、館内の一部エリアに導入された専用のAR(拡張現実)アプリが、旅慣れた観光客たちの度肝を抜いている。スマートフォンのカメラを壁画に向けると、描かれた恐竜が咆哮をあげて迫り、激流の川が本当に足元を流れるかのような臨場感が視界に広がる。この演出は、もともと緻密に描かれた絵画の立体感をさらに拡張するものだ。
単なる映像の投影ではない。肉眼での錯視と画面越しの3Dグラフィックスがシームレスに繋がる瞬間は、鳥肌モノの体験と言っていい。「子ども騙しだと思って入ったら、大人の方がスマホを握りしめて夢中になってしまった」とは、東京から訪れた30代夫婦の言葉。テクノロジーの進化が、アナログなアートの可能性を無限に広げている。