京都のビストロを語る上で、食材の鮮度と多様性は外せない。多くのシェフが毎朝、大原や上賀茂の農家へ直接足を運び、その日に収穫されたばかりの京野菜を仕入れる。形が不揃いな伝統野菜も、フレンチの技法にかかれば極上のソースやガルニチュール(付け合わせ)へと生まれ変わる。
さらに、近年注目を集めているのが丹波地方のジビエだ。適切に処理された鹿肉や猪肉は、臭みが一切なく、赤身肉の力強い旨味が凝縮されている。これらをクラシックな赤ワインソースで仕立て、京都産の山椒や黒七味をアクセントに加える。皿の上に表現されるのは、京都の豊かな山と大地の縮図そのものである。