効率性が何よりも重視される時代だ。タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が定着し、並ぶ時間は「無駄」と切り捨てられがちである。しかし、ここではそのルールは通用しない。むしろ、並ぶ時間すらもスパイスの一部なのだ。
「今日は何を食べようか」「どのワインを開けようか」。並びながら連れと交わす他愛のない会話や、先に店から出てきた客の満足げな表情を眺める時間。それらすべてが、席に着いた瞬間の感動を最大化するための前奏曲となる。デジタルで即座に手に入る快楽とは対極にある、じっくりと時間をかけて手に入れる美味。それこそが、現代人が求めてやまない贅沢なのかもしれない。