スマートウォッチが消費カロリーを監視し、健康管理アプリが最適な栄養素を提案する時代だ。私たちの食生活はかつてないほどスマートに管理されている。しかし、その反動として「無駄」や「過剰」を愛する文化が頭をもたげてきた。効率的な栄養摂取の対極にあるのが、ただ目の前の料理を限界まで胃に収める行為だ。これは、デジタル管理社会に対する静かな反逆とも言える。
情報過多の現代において、脳が処理しなければならないタスクは膨大だ。しかし、胃袋が物理的に限界を迎えている時、人間の意識は「消化」という極めて原始的な身体活動に集中する。余計な思考がシャットアウトされ、強制的なマインドフルネス状態が生まれるのだと指摘する専門家もいる。