彫り師に資格は不要?最高裁判決の真相とプロへの最新ルート徹底解説

彫り師に資格は不要?最高裁判決の真相とプロへの最新ルート徹底解説

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彫り師という職業の合法性を語る上で避けて通れないのが、2015年に大阪で起きた摘発事件を端緒とする「タトゥー医師法違反事件」の裁判闘争です。当時、警察当局が摘発の根拠としたのは、厚生労働省が2001年に各都道府県へ発出した医事課長通知でした。この通知には「針先に色素を付けながら皮膚に注入する行為は医行為に該当する」と明記されており、警察はこの文言を盾に「医師免許を持たない彫り師による施術は医師法違反(無免許医業)である」として全国で彫り師の逮捕や略式起訴を相次いで強行しました。

これに対し、略式命令の受け入れを拒否し、正式裁判で無罪を主張したのがタトゥーアーティストの増田太輝氏でした。一審の大阪地裁(2017年9月)は罰金15万円の有罪判決を下したものの、二審の大阪高裁(2018年11月)は逆転無罪を言い渡し、検察側の上告を経て最高裁判所第二小法廷が2020年9月16日、検察側の上告を棄却して無罪判決が確定しました。

最高裁が無罪を言い渡した決定的な理由は、医師法が想定する「医業」の概念定義にあります。最高裁判例は「医業とは、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと」とした上で、タトゥー施術の目的を厳密に分析しました。タトゥーは病気の治療や予防といった医療目的ではなく、美術的な装飾や象徴的意義を持つ風俗的・文化的な営みであり、医療とは行為の性質そのものが根本から異なります。したがって、医師法17条が独占を定めた「医業」には該当しないと結論づけられたのです。

補足意見を述べた草野耕一裁判長(当時)は、タトゥーには歴史的な習俗や現代の自己表現としての側面があり、これに医師免許を要求すれば実質的に彫り師という職業そのものを禁止することと同義であり、憲法22条が保障する「職業選択の自由」や表現の自由を著しく制約しかねないと指摘しました。この司法判断により、日本国内において「彫り師に資格や医師免許は不要であり、施術行為そのものは合憲かつ適法である」という明確な合法ラインが引かれることとなりました。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。