ドラマの底流にあるのは、雑誌『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子と天才編集者・花森安治(劇中では及川光博演じる花山伊佐次)の凄まじい実話である。戦後の焼け野原で「二度と戦争を起こさないためには、一人ひとりが自分の暮らしを大切にする社会を作らねばならない」と誓い合った二人の盟友関係は、男女の愛憎を超越した魂の共鳴だった。
視聴者の涙を誘った最終回の真相も、この二人の実話の重みを知ることでさらに際立つ。死期を悟った花山が常子に遺した感謝と、常子が夢の中で亡き父・竹蔵と再会を果たす幻想的なラストシーン。あれは、がむしゃらに昭和を走り抜けた大橋鎭子への最大のオマージュであり、家族と読者に人生を捧げた一人の女性がようやく肩の荷を下ろした瞬間でもあったのだ。