線画が完成した後に待っているのが、命を吹き込む塗りの工程だ。セーラー服の白地と紺色のコントラストは美しい反面、単調なベタ塗りになると画面が平坦に見えてしまう難点がある。
プロの塗りテクニックでは、影の中に「環境光(反射光)」を仕込む作業が重視される。例えば、スカートの折りひだの影部分にスカート自体の紺色や背景の青空の色を薄く落とし込むことで、空気感と立体感が劇的に向上する。さらに、襟のラインやリボンの縁にわずかなハイライトを入れることで、視線をキャラクターの顔回りへ惹きつける誘導効果が生まれる。
肌とセーラー襟が接触する首元には、血色感を感じさせる暖色系の影を塗る。この一工夫によって、冷たいデジタル画面の中にぬくもりのある生命感が立ち現れるのだ。