月山習が漫画の枠を超えて熱狂的なファン層を築いた背景には、アニメ版と実写映画版でそれぞれ主演級のキャスト陣が披露した圧倒的なパフォーマンスがあります。
テレビアニメ版で月山を演じた声優・宮野真守氏の演技は、アニメ史に残る怪演として名高い評価を得ています。「フォルテッシモ!」「ボォォォノ!」といったフランス語混じりの台詞回しや、カネキの匂いに陶酔する狂気的な息遣いは、宮野氏の卓越した声帯コントロールとアドリブ精神によって唯一無二のエンターテインメントへと昇華されました。単なる変質者にとどまらず、育ちの良さや隠しきれない育ちの品格を同時に滲ませる技巧は、まさに宮野氏だからこそ成し得た領域です。
一方、実写映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』で月山役を務めた俳優・松田翔太氏は、また異なる切り口からキャラクターを構築しました。松田氏が体現したのは、スタイリッシュな佇まいと底知れぬ狂気が同居する「貴族的な冷徹さ」です。狂気的な台詞をあえて抑えたトーンで囁くように放つアプローチは、邦画実写化における屈指のハマり役として批評家筋からも絶賛を浴びました。