是枝映画において、ロケーションは単なる背景ではなく、登場人物の内面を雄弁に物語るもう一人の主役と言えます。『万引き家族』の雑然とした下町の家屋、『海街diary』の情緒ある鎌倉の街並み、『怪物』の舞台となった長野県諏訪地域の自然と廃校など、是枝裕和作品の映画ロケ地は常に作品の空気感を決定づけてきました。
新作の撮影候補地に関しても、地域社会の息遣いが感じられる地方都市や、再開発によって失われつつある原風景を持つエリアなどがリストアップされていると伝えられています。入念な現地取材とロケハンを重ね、その土地に漂う湿度や光の当たり方までもフィルムに焼き付ける現場主義は、今回の新作でも徹底して貫かれています。