都はるみは過去、1984年のNHK紅白歌合戦を最後に「普通のおばさんになりたい」と語り、一度目の引退を発表した歴史があります。その後、音楽プロデューサーとしての活動を経て1990年に歌手復帰を果たしましたが、2016年の再度のフェードアウトは前回とは全く異なるニュアンスを持っています。
完全引退へと向かった最大の要因は、「都はるみとしての歌声への絶対的な誇り」にありました。年齢を重ねるにつれ、自身が理想とする声量や高音の伸び、独特のうなり節を完璧にコントロールすることが難しくなってきたことを、誰よりも本人が敏感に察知していたとされます。
中途半端なパフォーマンスでファンを落胆させたくないという徹底したプロ意識と、波乱万丈だった半生を終えて「名もなき一人の女性として静かに暮らしたい」という強い思いが、マイクを完全に置く決定打となりました。