エントランスを抜けてアトリウムに足を踏み入れた来館者が一様に息を呑むのが、中央に堂々と鎮座するなしっこ館のシンボル巨木です。枝張りは直径約20mに及び、現役時代には1本の樹から毎年約4,000個の二十世紀梨を実らせていたという伝説の樹木標本です。その無数の枝が天窓に向かって放射状に広がる光景は、現代アートのインスタレーションのような迫力を放ち、カメラを構えずにはいられない神秘的な重厚感に満ちています。
そして、視覚的なインパクトの直後に待ち受けているのが、来館者の満足度を決定づける「キッチンギャラリー」のテイスティング体験です。多くの旅行者が「なしっこ館の食べ比べ」を目当てに足を運びますが、用意されているのは単なる切り身ではありません。専門のスタッフが常時異なる3種類の品種を美しくカットして配膳しており、甘味、酸味、水分量、果肉のテクスチャーの違いを詳細な解説パネルと照らし合わせながら舌で検証することができます。
驚くべきは、この食べ比べが梨のオフシーズンである初夏や真冬であっても年間を通して途切れることなく実施されている点です。これを可能にしているのが、鳥取県が誇る高度な長期氷温貯蔵技術と徹底した品質管理体制に他なりません。まさに産地の意地と科学技術の勝利であり、フルーツ通の舌を唸らせる理由がここにあります。