ファナティックの驚異的な身体能力と即興劇のようなパフォーマンスを支えているのは、極めて高度な訓練を受けた専属パフォーマーです。球界では夢を壊さないための不文律として「ファナティックの親友(Best Friend)」という肩書で語られます。
初代パフォーマーを務めたのは、デラウェア大学のマスコット経験者であったデイヴィッド・レイモンド氏(1978〜1993年担当)でした。彼はパントマイムやアクロバットを融合させ、ファナティック特有の「歩き方」「腹躍り」「相手を小馬鹿にするコミカルな間合い」という身体言語をゼロから構築しました。1994年以降は、長年アシスタントを務めていたトム・バーゴイン氏が2代目としてその魂を継承し、30年以上にわたり緑のスーツを身にまとってスタジアムを駆け巡っています。
バーゴイン氏はメディアの特番取材や著書の中で、「スーツを着ている間、私は消え去り、ファナティックという純粋なエネルギーそのものになる」と語っており、猛暑の夏場には1試合で数キログラムの体重が落ちる過酷な現場で表現を磨き続けています。
その過酷さと卓越したエンターテインメント性に見合う形で、マスコットの経済的価値も米スポーツ界で突出しています。現地メディアや業界調査データによると、ファナティックの推定年俸・関連収入は年間60万ドル(約9,000万円)から100万ドル(約1億5,000万円)規模に達すると報じられています。試合日の出演料に加え、年間数百件に及ぶ企業イベントやプライベートパーティへの派遣料、スポンサー契約が組み合わさった結果であり、MLBトップクラスの専門職として極めて高い評価を受けています。