誰もがプレーオフを覚悟した瞬間だった。最終組の2組前を走る選手がスコアを伸ばし、クラブハウスリーダーとしてプレッシャーをかけるなか、首位タイで並んでいた2人の明暗を分けたのは、上がり2ホールに潜む罠だった。
フォローの風から突如として左からのアゲンストへと変わった17番パー3。安全策を取ってグリーン中央を狙うか、ピンをデッドに攻めて単独首位を奪い取るか。選択を迫られた緊迫の局面で放たれたショットは、風を切り裂いてピン右1.5メートルにピタリと止まる。恐怖心をねじ伏せた積極策が、重いプレッシャーのかかる下りのスライスラインを沈めるバーディへと結実した。
一方で、同じ風を読み切れずバンカーのヘリに捕まった対抗馬は、痛恨のボギー。わずか数分の間に生まれたこの「2打の開き」こそが、激戦に終止符を打つ決定打となった。勝負の神様は、リスクを冒して果敢に攻めた者の勇気に微笑んだと言える。