医学論文データベースPubMedに蓄積された数多くのバイオメカニクス研究は、デッドリフトにおける腰椎椎間板ヘルニアの発症機序について明確な警告を発している。腰椎が屈曲した状態で高負荷の牽引を行うと、椎間板内部の髄核が後方へ押し出され、神経根を圧迫するリスクが跳ね上がる。
多くの挙上者が勘違いしているのは、「脊柱起立筋でバーを引き上げる」という意識だ。脊柱起立筋の本来の役割は、体幹を直立に保ち続けるための等尺性収縮(アイソメトリック)にある。ここを動力源として使おうとした瞬間、腰椎の固定が解け、椎間板への破壊的な負荷へと転化する。背中は固めるための盾であり、重りを持ち上げるエンジンではない。