その極秘案件の中心に鎮座するのが、コードネーム『Project CHRONOS』と呼ばれる未発表タイトルだ。ジャンルは重厚なサイバーパンクSF。雨に濡れる高層ビル群、乱反射するネオン光、空中を行き交うモビリティの噴射炎——それら膨大な光源計算を伴うシーンが、ほぼゼロ遅延でモニター上に組み上がっていく。
現場を指揮する映像技術監督は、従来の撮影現場に存在した「ポストプロダクション待ち」の膠着時間を激しく嫌悪してきた人物だ。「現場で最終完成形を見ながら芝居をつけ、カメラを振る。それ以外に熱狂を生む方法はない」。撮影現場の片隅で彼が吐き捨てた言葉は、このプロジェクトが目指す思想そのものを物語っている。