この楽曲を巡るドラマにおいて、最も劇的なのはThe Waltersというバンド自体の数奇な運命です。
2014年、米シカゴで結成されたThe Walters(メンバー:Luke Olson、Walter Kosner、Michael Tirabassi、Danny Wells、Charlie Ekhaus)は、同年に自主制作EP『Songs for Dads』をリリース。その筆頭トラックこそが『I Love You So』でした。
地元シカゴのシーンで愛され、フェスへの出演を果たすなど着実な活動を続けていたものの、当時のインディー音楽界で商業的な大成功を収めるには至りませんでした。ツアーの過密日程、資金難、将来への不安、そして創作面での意見の不一致が重なり、メンバー間の関係は悪化。バンドは2017年に突如として解散を発表します。各メンバーは別々のプロジェクトへ散り散りになり、バンドの歴史はそこで完全に途絶えたかに見えました。
しかし、時計の針は止まっていませんでした。解散から3年以上が経過した2020年末から2021年にかけて、TikTok上で楽曲が自然発生的に拡散され始めます。再生回数は日を追うごとに天文学的な数字へ膨らみ、メンバーたちのスマートフォンには世界中から通知が殺到しました。
この予期せぬ奇跡を受け、かつて袂を分かったメンバーたちは再び連絡を取り合います。当時のインタビューでメンバーが「自分たちが作った音楽が、僕たち自身を再び引き合わせてくれた」と語った通り、楽曲のバイラルヒットをきっかけに2021年末、バンドは公式に再結成。直後にメジャーレーベルであるWarner Recordsとの契約を締結し、全米テレビ番組でのパフォーマンスや新曲のリリースを果たすという、現代のデジタルカルチャーならではの鮮やかな復活劇を遂げたのです。