中島みゆきと吉田拓郎の真実|永遠の嘘とつま恋伝説が語る絆の全貌

中島みゆきと吉田拓郎の真実|永遠の嘘とつま恋伝説が語る絆の全貌

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二人の関係性を語る上で最大の転換点となったのが、1995年発表のアルバム『感度良好』に収録された名曲『永遠の嘘をついてくれ』です。当時、50代を目前に控えていた吉田拓郎は、時代がフォークからデジタルサウンドやJ-POPへと急速に変貌するなか、深刻なスランプと創作意欲の減退に苦しんでいました。自らの言葉で歌うべきメッセージを見失いかけていた拓郎が、すがるような思いで中島みゆきへ「僕に曲を書いてくれないか」と手紙を送ったことが、すべての始まりでした。

他者への楽曲提供を数多くこなしてきた中島みゆきにとっても、吉田拓郎は10代の頃から憧れ続けた「フォークの神様」であり、表現者としての原点でした。オファーを受けた当初、彼女は「拓郎さんが他人の曲を歌うなんて考えられない」と激しく逡巡したといいます。しかし、拓郎の切迫した心情を察した中島は、拓郎の心情を代弁するのではなく、「吉田拓郎という偶像を背負い続けてきた男」へ向けた強烈なレクイエムであり鼓舞の歌として、同曲を完成させました。

歌詞に刻まれた「永遠の嘘をついてくれ / 出会わなければよかった人などないと笑ってくれ」というフレーズは、リスナーに対して常に嘘偽りのない本音を吐き出し、時代と闘ってきた拓郎に対する、「最後まで時代を騙すカッコいい男であり続けてほしい」というみゆき流の叱咤激励でした。デモテープを受け取った拓郎は、その圧倒的な詞世界とメロディに戦慄し、「みゆきに試されている、俺はこれを全身全霊で歌わなければならない」と直言したと記録されています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。