平成のポップなコスメブームへと至る土台を築いたのは、昭和の時代から家庭の救急箱に常備されていた「緑のスティック」でした。リップクリームの代名詞ともいえるメンソレータム薬用リップの歴史は、日本のスキンケア史そのものと言っても過言ではありません。
メンソレータムの商標が近江兄弟社からロート製薬へと引き継がれた1975年以降、リップケア市場は「ひび割れ治療」から「日常的なエチケット」へと急速に裾野を広げました。おなじみのナースマークが描かれたメンソレータム薬用リップスティックは、メントールの爽快感と確かな消炎効果で昭和レトロの日常風景に定着。さらにロート製薬は、歴代の製品開発において市場のニーズを先取りし続けます。
1980年代後半から1990年代にかけては、より滑らかな塗り心地を求めて「メンソレータム 薬用リップ ナチュラル」や、唇に自然な赤みを差す「色付きリップ」の初期モデルを相次いで投入。昭和の質実剛健な薬用処方から、平成の香り付き・血色感重視のカルチャーへの架け橋となったのは、間違いなくロート製薬が切り拓いた技術革新の蓄積でした。