1918年のドイツ革命によってヴィルヘルム2世が退位し、ドイツ帝国およびプロイセン王国は消滅しました。貴族制度が廃止された現代ドイツにおいて、ホーエンツォレルン家の子孫たちはどのように城と向き合っているのでしょうか。
現在の一族の当主は、1976年生まれのゲオルク・フリードリヒ・フォン・プロイセン(Georg Friedrich Prinz von Preußen)王子です。彼は名目上のプロイセン王家家長であり、一族の広大な資産を管理する実業家としても活動しています。ホーエンツォレルン城は、ルター派に改宗したブランデンブルク=プロイセン系と、カトリックにとどまったシュヴァーベン系(ホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家)の両系統が共同で所有しており、ゲオルク・フリードリヒ王子がその3分の2の持分を保有しています。
近年、ドイツ国内のメディアでは、ホーエンツォレルン家が旧東ドイツ地域にあった旧王族財産の返還や補償、展示品の借用権を巡って連邦政府やブランデンブルク州政府と繰り広げた交渉が大きな論争を呼びました。歴史学者や国民の間で「過去の皇帝家の戦争責任やナチス台頭期の関与」を巡る厳しい議論が巻き起こり、王子側が一連の訴訟の一部を取り下げるなど、現代の民主主義社会における旧王族の立ち位置は決して平坦ではありません。
しかし、そうした逆風の中にあっても、ホーエンツォレルン城自体の維持・修繕事業には一族の私財と城の観光収益、そして支援基金が充てられ、文化財としての独立した保護が徹底されています。城の塔に現在でも「プロイセン旗」が掲揚されることがありますが、これは当主が一族の私邸エリアに滞在している合図です。過去の権威を誇示するためではなく、激動の歴史を背負う当事者としての矜持と責任感が、今なおこの城を守り抜いています。