視聴者の目を釘付けにしたのは、柊一颯が放つ病的な痩躯と、眼球の奥に宿る凄まじい執念でした。菅田将暉はこの役作りのため、クランクイン前から極限の肉体改造に着手しています。
演じる柊一颯は、末期のすい臓がんを患いながら命のカウントダウンの中で計画を実行に移す人物です。菅田は食事制限とトレーニングを重ね、撮影終盤に向けて10kg以上もの減量を敢行しました。回を追うごとに頬はこけ、鎖骨が浮き立ち、スーツの肩幅が余っていくビジュアルの変化は、特殊メイクではなく彼自身の肉体的な消耗そのものでした。
現場での立ち振る舞いにも徹底したプロフェッショナリズムが宿っていました。クランクイン当初、菅田はあえて生徒役の若手キャスト陣と馴れ合わず、適度な距離を保ち続けたと共演陣が当時の座談会で明かしています。「先生と生徒」という絶対的な力関係と緊張関係を撮影現場の空気として醸成するため、自らを孤立させる覚悟でカメラの前に立ち続けたのです。