制度面での進展も急速に進んでいます。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の最新改正では、駅や空港などのハード基準の引き上げにとどまらず、交通事業者や自治体に対する「ソフト基準(従業員教育や心のバリアフリー計画の策定・公表)」が義務づけられました。
2024年の障害者差別解消法改正による「民間企業への合理的配慮の義務化」を経て、2026年の産業界では、単なるCSR(企業の社会的責任)を超えた実務オペレーションとして心のバリアフリーが定着しています。
【先進企業による取り組み事例】
- 大手航空・鉄道会社:全社員を対象に、アイマスクや車いすを用いた疑似体験研修を実施。現場でのマニュアルを一律に押し付けるのではなく、利用者一人ひとりの希望を聞き取る「パーソナルコミュニケーション研修」へと進化。
- 流通・小売チェーン:聴覚障害者向けに「指差し注文シート」や筆談ボードを全レジに常備。店内放送だけでなく、スマートフォンの位置情報を利用したセール情報や誘導案内を配信し、視覚・聴覚に依存しない案内体制を確立。
- IT・テクノロジー企業:自社のウェブアクセシビリティ(JIS X 8341-3規格)を徹底強化。視覚障害者向けの画面読み上げソフト対応や、色覚多様性に配慮したカラーパレットの採用を標準要件化。
さらに文部科学省が推進する「心のバリアフリー教育推進事業」では、特別支援学校の児童生徒と地域の小中学校・高校生が日常的に学び合うインクルーシブ教育の機会が大幅に増設されました。幼少期から「障害の有無に関わらず、社会を構成する一員として共に過ごす」ことが日常である世代が育っており、社会の意識変革を後押ししています。