ネット上の掲示板やSNSでは、「お坊さんが家に来たけれど、10分足らずで帰ってしまった。手抜きではないのか」「挨拶を終えたらすぐにお経をあげ、お茶にも手を付けずに飛び出していった」といった戸惑いの声が毎年散見されます。しかし、このスピード退室には寺院側の切実な事情が存在します。
取材に応じた関東近郊の日蓮宗系住職は、過密を極めるお盆期間のタイムスケジュールについて次のように証言しています。
「8月13日から15日(地域によっては7月中旬)の数日間で、1日に20軒から30軒もの檀家さんを回らなければなりません。移動時間を差し引くと、1軒あたりに滞在できる時間は最大でも15分。読経に約8〜10分、ご挨拶とお布施のお預かりに3分程度という計算です。ゆっくりお茶を飲んで世間話をしていると、後半に訪問するご家庭の予定が数時間単位で遅延してしまいます」
お盆お坊さん滞在時間の真相は、決して「雑な対応」ではなく、限られた期間内に全檀家の先祖供養を滞りなく完遂するための極限のスケジュール管理にあります。施主側も「長居をさせない配慮」を前提に動くことが、結果として僧侶への最大の気遣いとなります。