例年であれば5月下旬から6月にかけて本格化するはずの火災シーズンだが、今年は4月初頭の時点で早くも各地の警戒レベルが上限に達した。最大の原因は、冬の間の極端な少雪と春先の異常高温だ。積雪の融解があっという間に進み、地表を覆う落ち葉や枯れ枝は乾燥しきった「巨大な薪」と化した。
「火が樹木のてっぺんを伝い、風に乗って秒速数十メートルで飛んでいく。従来の消火理論はもはや通用しない」
現地で指揮を執る消防隊幹部は焦燥感を露わにする。消防ヘリによる大規模な放水も、地表から噴き出す圧倒的な熱気の前には焼け石に水だ。ひとたび火の手が上がれば、人間が介入できる余地はほとんど残されていない。