嵐のコンサートを語る上で避けて通れないのが、「口パク」疑惑と「生歌」の実態だ。巨大アリーナやドームを揺るがす激しいダンスパフォーマンスをこなしながら、CD原音通りの歌声を維持することは物理的に不可能に近い。これが時として「全編被せ(被せ音源)」や「口パク」と批判される一因となってきた。
しかし、劇場公開され大きな話題を呼んだ『ARASHI Anniversary Tour 5x20 FILM “Record of Memories”』の音源を詳細に検証すると、その説はあっさりと覆される。同作では、息遣いや微細なピッチの揺れ、マイクに乗る生々しいブレス音まで鮮明に記録されており、メンバーがリアルタイムで歌い上げているパートが想像以上に多いことがわかる。激しい動きに伴う声のブレを排除するのではなく、ライブの躍動感として昇華させる彼らのステージングは、単なる口パクとは一線を画すプロフェッショナルな生歌パフォーマンスの証左である。