そもそもウスターソースの起源は、19世紀のイギリス・ウスターシャー州にある。余った野菜やスパイスを保存するために樽に入れておいたところ、偶然発酵して美味しくなったという、いわば「奇跡の失敗作」だ。これが明治時代に日本へ伝わり、独自の進化を遂げる。
しかし、当時の日本人にとって、イギリス直輸入のウスターソースは少々スパイシーすぎた。また、日本の米食文化や揚げ物文化に合わせるため、もっとマイルドで、食材に絡みやすいソースが求められた。そうして昭和に入り、日本のメーカーがウスターソースに果実の甘みを加え、とろみをつけた「中濃ソース」を開発。日本独自のハイブリッド調味料が誕生した瞬間だった。