この長年の論争に決定打を与えたのが、のちに『借りぐらしのアリエッティ』や『思い出のマーニー』で監督を務めたアニメーター・米林宏昌氏の発言です。
米林氏は2020年9月、自身の公式SNS(現X)で『千と千尋の神隠し』の原画作業を振り返り、「お父さんが食べてるブヨブヨした食べ物はシーラカンスの胃袋と絵コンテに書いてありました」と明かしました。さらに「宮崎監督が描いたレイアウトに、肉汁がジュワッと出るタイミングまで細かく指示されていた」という生々しい作画エピソードも披露され、ネット上では「バーワンじゃなかったのか!」「シーラカンスの胃袋って実在するの?」と大きな衝撃が走りました。
スタジオジブリの公式絵コンテ集を確認すると、該当シーンのト書きには確かに「シーラカンスの胃袋」というメモ書きが存在します。太古の生きた化石と呼ばれるシーラカンスの内臓という、おどろおどろしくもどこか蠱惑的な設定こそが、あの圧倒的な生々しさの源泉だったのです。