晩年の火野正平の代名詞となったのが、NHK BSで長年放送された番組『にっぽん縦断 こころ旅』だ。自転車にまたがり、視聴者の思い出の場所を訪ねる彼の姿は、幅広い世代に愛された。全国を旅するタフな撮影現場を乗り切る影には、健康面を気遣う妻の徹底したサポートがあった。
腰痛や体調不良と闘いながら撮影に挑んでいた火野に対し、彼女は栄養面を考えた食事の準備や体調管理を細やかに徹底。遠方でのロケ中も頻繁に連絡を取り合い、彼の精神的な支柱となり続けた。
2024年に体調を崩し、静かに自宅で療養生活を送るようになってからも、彼女は最期まで病床の傍らを離れなかった。最愛の家族に見守られながら静かに息を引き取ったその瞬間まで、彼女の温かな愛が彼を包み込んでいたのだった。