1970年、日本のテレビCM界に革命を起こしたマンダムのCMは、若き日の大林宣彦監督が演出を手掛けました。当時、日本のテレビCMといえばスタジオ撮影による説明的な商品紹介が主流でしたが、大林監督はハリウッドの映画撮影チームを率いてアメリカ本土でのオールロケを敢行。荒野を疾走する馬、雄大な自然、そしてタフな大人の男の日常を1本の映画のように切り取る革新的な手法を導入しました。
ブロンソンがシャツを脱ぎ捨て、滴る汗を拭いながらマンダムの化粧水を豪快に首筋や胸元へ浴びるシーンは、男性のグルーミング文化に「野性味と洗練」という新たな価値観を提示しました。ラストシーンで顎を撫でながら呟く名台詞「う〜ん、マンダム(All Mandom, the world of all men)」は、台本に書かれた細かな指示ではなく、ブロンソンの放つ圧倒的な存在感と大林監督の緻密な絵作りが融合して生まれた奇跡の瞬間でした。
さらに、日本国内向けに放映されたバージョンでブロンソンの低音ボイスを吹き替えたのは、日本を代表する名優・丹波哲郎でした。丹波氏の深みのあるドスの利いた声がブロンソンの彫りの深い表情と完璧にシンクロし、テレビの前の男性たちを虜にしました。また、ジェリー・ウォレスが歌う主題歌「男の世界(Lovers of the World)」はオリコン洋楽チャートで1位を獲得し、シングル盤が100万枚を超えるミリオンセラーを記録するなど、音楽面でも異例のメガヒットを打ち立てました。