多くのリスナーを惹きつけてやまないのが、作詞家・井上秋緒が手掛けた『BURNIN' X'MAS』の歌詞が持つ独特の熱量と文学性です。一般的なクリスマスソングが「純白」「奇跡」「祈り」といった受動的で静的なモチーフを多用するのに対し、本作では「炎」「渇き」「焦燥」「本能」といった能動的かつ肉感的な言葉が全編をドライブします。
井上秋緒が紡ぐリリックは、聖夜という特別な記号に甘えることなく、人間が根源的に抱える孤独や他者との決定的な結びつきへの渇望を描き出しています。「凍てつく街の静寂に身を委ねるのではなく、自らの情熱で内なる炎を燃え上がらせろ」というメッセージは、形式的なイベント消費に流されがちだった平成後期の若者文化に対する鮮烈な覚醒剤として機能しました。
社会学的な観点から分析すると、1990年代末はバブル崩壊後の閉塞感が漂い始め、若者たちが既存の権威や形骸化した年中行事に空虚さを感じていた転換期にあたります。その時代精神(ツァイトガイスト)において、聖夜を「お行儀よく過ごす夜」から「生の実感を燃焼させる夜」へと書き換えた本作の意味は極めて大きく、リスナーの潜在的なフラストレーションを見事に解放したのです。