当時、若干13歳(実年齢は中学1年生)にして連続ドラマの単独初主演を任された志田未来。前年に出演した『女王の教室』(2005年)の生徒役でその卓越した表現力が業界内に知れ渡っていましたが、未成年の中学生が妊娠・出産するという重い十字架を背負う役柄への抜擢は、芸能界全体にとっても異例の挑戦でした。
撮影現場での志田未来の集中力は、並み居る大人たちを驚愕させました。当時のドラマ制作スタッフの回想録や現場証言によると、出産シーンの撮影にあたり、助産師の指導を受けながら「息遣いひとつで痛みの深さを表現する」訓練を徹底的に重ねたといいます。実際の出産を経験していない13歳の少女が、陣痛の激痛と新たな生命を迎える神聖な眼差しを演じきったクライマックスは、演出陣が思わず涙を流したという逸話が残されています。
一方、未希を妊娠させてしまう名門私立中学校の生徒・桐野智志役を演じたのが、当時16歳の三浦春馬でした。自身もまだ高校1年生という多感な年頃でありながら、母親からの重圧に怯え、未希を傷つけてしまった罪悪感と自己嫌悪に苛まれる少年の心の揺らぎを、驚くほど繊細な表情の変化で演じ切りました。
特に、逃亡劇の果てに自らの弱さと向き合い、未希と生まれてくる命に対して責任を取ろうと決意していく過程の眼光の変化は圧巻でした。三浦春馬が後に見せる卓越した表現力と役への没入感の原点が、この『14才の母』において既に完全に確立されていたことが窺えます。