突然部屋の端から端まで猛ダッシュを繰り返したり、カーテンによじ登ったりする子猫の姿に驚く飼い主は多いですが、これは異常行動ではありません。子猫が暴れる最大の理由は、有り余るエネルギーの発散とハンティング本能の開花にあります。本来、野生下であれば獲物を追いかけ、母猫や兄弟猫と取っ組み合いをして消費されるはずのエネルギーが、室内飼育という安全な環境下で一気にスパークしている状態です。
特に夜間や早朝に突如として始まる「夜の大運動会」は、猫の生理生態である薄明薄暮性(明け方と夕暮れ時に活動性がピークに達する性質)に起因しています。人間が就寝する静まり返った時間帯は、猫にとって「狩りのゴールデンタイム」であり、視覚や聴覚が鋭敏になって本能的な興奮が高まります。
また、飼い主が戸惑いやすいのが「本気の威嚇」と「遊びの興奮」の見極めです。子猫が背中を丸めてカニ歩きをしたり、耳を伏せて飛びかかってきたりすると攻撃されているように感じられますが、多くは遊びの延長線上にあります。
両者の決定的な違いは身体の緊張度と発声にあります。耳を横に倒して低く唸り声を上げたり、爪を剥き出しにしてシャーと威嚇音を発したりする場合は恐怖や防衛からの本気攻撃ですが、瞳孔を大きく開いてしっぽを立て、ピョンピョンと跳ね回っている場合は単なる「狩りごっこ(プレイアグレッション)」です。この違いを把握しておくだけで、無用な恐怖や不安を抱かずに済みます。